【アニメ】美味しんぼ 17話「もてなしの心」あらすじ・概要

1989/2/20 (16話 直火の威力←→18話 鮮度とスピード) 

原作:ビッグコミックス5巻8話「もてなしの心」

 

脚本:田波康男

絵コンテ・演出:中村孝一郎

作画監督柳田義明

 

■あらすじ

唐山陶人の結婚披露宴で、陶人から「領子に料理の基本を教えて欲しい」と頼まれた山岡が「基本的なことだけなら」と引き受けたことに対して雄山が「本当にうまい飯をたき、本当にうまい味噌汁を作ることは至難の技。基本もなっていない貴様が」と山岡を煽り、祝いの席でふたりが口論に。陶人の提案により、後日「米の炊き方、味噌汁の作り方」で対決をすることになる回。

 

■登場人物

山岡/雄山/ゆう子/陶人/領子(初)/谷村/本村(初)

(富井/文化部の面々)

 

 

鈴村(唐山)領子 (CV:藤田淑子

美術雑誌の記者として陶人を取材した際に出会ったの馴れ初め。本人曰く、「女の激しい戦いに勝利」して陶人を射止める。所構わず陶人といちゃついている。結婚披露宴の招待状を山岡へ届けるために、東西新聞を訪れた際には谷村部長から「陶人の孫」と勘違いされる。

 

本村 (CV:丸山詠二

還暦ぐらい。美食倶楽部にて約10年勤務(山岡が小学生の頃で、よく遊んでもらっていた。18話にエピソードあり)。現在は陶山唐人の元で罐焚きを担当。山岡曰く、罐焚きの技術は超一流。「陶人の焼き物の仕上がりがいいのは本村のおかげ」とまで言っている。その罐焚きは海原雄山によって仕込まれており、恩人として慕っている。

 

 

■対決内容

山岡 VS 本村(雄山の代理・15年ほど前に本村の家で雄山が食事をした「あのときとまったく同じものを作れ」と指示)

 

■勝敗

先攻・山岡(LOSE)

後攻・本村(WIN)

 

■山岡の用意した食材

【米】

・新潟産のコシヒカリ

農家が自家用に作った無農薬栽培。そのもみを天日で乾燥したものを調理の直前に精米

・水

米と同じ新潟産。銘酒作りにも用いられる天然の湧き水

・火加減

頃合いを見て、薪を火力の柔らかい藁に切り替えて蒸らすことでほっこりとした仕上がりに

 

【味噌汁】

・実

宍道湖シジミ

・味噌

無農薬栽培の大豆で作って2年寝かせた。士郎曰く、本物

・出汁

枕崎の男節を使用

 

■山岡の米に対する感想

「ん〜うまい」(谷村)

「一粒ずつがふっくらして、舌触りは滑らかで歯ごたえも心地よい」(栗田)

「ふんわり甘いのね」(領子)

「これは見事な炊き上がりじゃ」(陶人)

「さすが新潟産のコシヒカリね」(栗田)

 

■山岡の味噌汁に対する感想

「いいお味、お味噌の香りと出汁の豊かさでコクのある味が」(栗田)

「鰹節も一番良いものを贅沢に使っておる」(陶人)

シジミの生臭さが全くありませんな」(谷村)

「材料の質も技術も士郎の作ったものは行き着くところまで行ってしまっとるのじゃから、雄山が最善を尽くしても士郎のと差は出てこんのではないかな」(陶人)

 

■本村の米に対する感想

「のぉっ!こ、こ、この飯は!?」(陶人)

「山岡さんの炊いたご飯より美味しいわ」(栗田)

「舌触りも歯ごたえも全然違う」(谷村)

「士郎の炊いた飯は完璧なもののように思えたのに、今この飯と比べるとあらが見えてくる。舌触りにムラがある。羽毛布団と硬いわた布団ほどの差がある。そして、こちらの飯を噛んだ時に広がるふくよかな甘さと香り、これに比べると士郎の飯はまだぬかくさい」(陶人)

 

■本村の味噌汁に対する感想

「味噌汁もこっち(本村の味噌汁)の方がうまい」(谷村)

「同じシジミの味噌汁なのに」(栗田)

「士郎の味噌汁まだ生臭い。シジミと味噌汁が渾然一体となったうまさを醸し出しておるのはこっち(本村の味噌汁)じゃ」(陶人)

「残念ながら唐山先生の言う通りだわ。でもなんでこんなに差が出たんだろう。山岡さんも最善を尽くしたのに」(栗田)

 

■本村の勝因

「士郎、この差はどうしてできたと思う。言ってみろ」(雄山)

「材料の差だ。米も味噌もシジミも、金の力にものを言わせて、最上のものを集めたんだろ。へっ、あんたのやりそうなことだ」(山岡)

「材料の差だと?お前がそこまでものを見抜く力がないとは思わなかったわ。来い!本村がどうやってこの飯を炊き、味噌汁を作ったか見せてやる」(雄山)

 

【米】

・米粒の選別

黒い盆の上で米粒をひとつひとつ大きさを揃えて選別。大きさの揃った米は炊き上がりにムラがない。雄山曰く、この微妙な差が最終的なうまさの決定的な要因となる

 

【味噌汁】

・味噌

大豆を粒のまま醸造した味噌をすり鉢で擦る。擂粉木には、数日前に切り出して干した本村家の山椒の木を使用。「それがうまさの秘密か。山椒の爽やかな香りが味噌について香りが膨らむ」(陶人)

・実

シジミの粒の大きさを揃えて選別することで米と同様、煮え方にムラがなくなり、生臭さが消える

 

海原雄山のお言葉

「美食を芸術の域にまで高める条件はただひとつ。人の心を感動させることだ。人の心を感動させることができるのは人の心だけなのだ。それがわからぬ人間が究極のメニューなどと抜かしおって。士郎、お前に味を語る資格はない」

 

■山岡の敗因

「俺は雄山に勝とうと、そればかり気にして。本村がどんなに気を配って作っていたか考えもしなかった」(山岡)