2

 じめじめとした暑さで寝苦しさのあまり目を覚ます。窓の外を見ると、お天道様は真上に上っているような感じで、夏らしい青空が広がっている。

「天高く馬――」

 とまで言いかけ、これは秋の言葉だったと思い出し、夏の表現を探したが、寝ぼけた頭にそんな言葉は浮かんでこなかった。

 枕元のスマホの画面をつけると薄暗い画面に、十二時五十分、晴天、気温三十度とぼんやり白い文字が映し出される。

「これが七月ってやつかよ。一日からまったく手厳しいこって。」

 やおら起き上がって、テレビのスイッチを入れる。リモコンを操作して録画したアニメを画面に映し出すと前番組のケツから始まった。その隙に、と台所にコーラを取りに立ち上がる。一人暮らしですっかり駄目になってしまった俺は起き抜けに一本やるのが習慣になっていた。冷たいボトルをひねるとプシュッと景気のいい音がする。

「これだからやめられねえなぁ。」

 飲んでもいないコーラの味で喉を鳴らして悦に浸っていると、けたたましい音でテレビがアニメソングを歌う。

「はじまった、はじまった。」

 グイッとやって、散らかり放題の、ただこれを自分は、不規則の中に規則性を見出した秩序のあるものだと言い張る、要はきったねえ床の、見えている部分を半ばスキップでもするかのようにぴょんぴょんと慣れた調子で飛んでテレビの前に鎮座した。

 画面の中は夏。いかにも暑いぞと、言わんばかりに鳴く蝉の声を背景に、気怠そうな青年が教室で机にかじりついている。彼はやけくそ気味に後ろの席へ視線をやると、解き終えたテストに顔をうずめて気持ちのよさそうに眠る女の姿があった。もはや代名詞となった溜息をもらしながら、青年は神の不平等な采配に悪態をつく。

 なつかしいアニメの再放送を見ながら、過ぎ去った日々に思いを馳せる。このアニメをはじめて見た頃、あの頃はもっと生き生きと怠惰を享受していた。怠惰を享受する仲間がいた。俺はあと何年、大学生というモラトリアムに甘んじているつもりなのか。まあまあ切ない気持ちになって、今が西暦何年なのかを思案しながら煙草に火をつけた。

 

 

 

 今週のお題「テスト」。